「頭が良い」と判断する基準には様々なものがあります。
たとえば、単純に様々な分野の知識を持っている「知識量」をもって判断する場合もあれば、子どものうちはなにより学業の成績が重要であるという「偏差値」を重視する場合もあるでしょう。
また、すでに存在する知識を活用して未知の問題を解決する能力である「地頭力」や、その人の判断力・知性などを中心に判断する「知能指数」を挙げる人もいます。そうした文脈の中で「IQ」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
この記事では、「頭のよさ」を判断するための様々な基準のパターンと、その中での「IQ/PQ」の違いなどにも着目して解説します。
1. 実は誤解している人も多い「IQ(知能指数)」
人の頭のよさを判断する際に「IQ」という指数を用いることがあるという点は、多くの人が知っているでしょう。
一般にIQが高いほど頭がよく、反対に低い場合には頭が悪い、と理解されます。しかし、この理解は間違いではありませんが、必ずしも正確ではありません。
IQとは、知能検査の結果を表す指数であり、一般的には「生活年齢と精神(知能)年齢の比」または、「同年齢の集団の中での位置づけ」を表します。前者は「精神年齢÷生活年齢×100」という計算式で表され、100に近いほど人数が多い、つまり平均的であるといえます。後者の場合は、いわゆる「偏差値」と同様に、平均値と標準偏差によって表されます。
つまり、同年齢の人々の標準に合わせた相対的な評価となるわけです。
2. IQを測定するための知能検査ではどのような検査をするのか?
実際のところ、IQを測定するための知能検査でどのような検査が行われるのでしょうか。検査には「物事の理解」「知識」「課題解決力」などの認知能力を測定するための心理検査を行います。
より詳しく解説すると、「言語理解指標(VCI)」「知的推理指標(PRI)」「ワーキングメモリ指標(WMI)」「処理速度指標(PSI)」の4つの指標得点を算出し、それらの合計得点から知的発達・認知能力を測定するという方法が一般的です。この検査方法は、「ウェクスラー式知能検査」と呼ばれ、幼児から児童、成人と3つの区分に分けられています。
3. IQ以外の要素も注目されてきている
近年では、IQとは別のアプローチも重視されてきています。人間の知性とは、先に挙げたような要素だけではなく、そこに「情動」が含まれるべきとする考え方です。
この「情動」とは、「自己認識力」や「動機づけ」「共感能力」などの5つの能力から構成されており、こうした情動に関する能力も人間の知性の一部であると考えられるようになってきたのです。この情動に関する能力を加えた指数が、「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」、つまり「情動指数」と呼ばれています。情動指数の高さは、「人格的知性」とも呼ばれます。
4. 情動と自我を総合した「PQ(前頭知性)」とIQの違い
IQに情動を加えたEQという指数が注目される中、さらに「PQ」という考え方も加えられてきています。
PQとは「前頭知性」と呼ばれており、脳の「前頭連合野」の活動、つまり、「自我」に関わる部分にもスポットライトを当てた考え方です。
PQは、IQやEQに加えて、自己の感情を適切にコントロールしたり、社会生活・人間関係を営み、はぐくむための知性を表すといえます。
5. なぜIQ・PQという違いが生まれたのか?
脳の「知性」という言葉だけをとらえれば、確かに課題解決力や処理速度、知識量などを測れば充分と感じる人もいるかもしれません。しかしながら、人間は社会的な動物であり、他者との関わりを必要としながら生きています。それは例えば、家庭であれ、学校であれ、友人同士のコミュニティであれ同様でしょう。
そして大人になれば、職場での関係においても同様であるといえます。こうしたことから考えると、知識量や処理能力は脳の知性の一部分ではあるものの、それだけで人間の知性と評価するには足りない、とされるのが理にかなっています。
6. 注目される「子どものPQ教育」
子どもに対する教育の中にも、PQの概念は浸透しつつあります。
幼稚園や保育園などの施設でもPQ教育を取り入れる施設が現れており、たとえば老人ホームへの慰問、地域との交流など社会関係・人間関係や社会ルールを学ぶ機会を作ったり、絵本の「感想」を子どもから発信させることによる情動の把握と、その言語化という訓練を取り入れている施設もあります。
IQと同様に、教育の効果の現れ方は子どもにより異なる部分があることは否めませんが、将来的に社会の中で生活していくことになる子どもに対して、小さい頃からPQの教育を施すことは、子ども自身にとってよい効果を生むことが期待できるでしょう。
7. まとめ
IQやEQ、PQという言葉は、言葉としては聞いたことがあっても、実際にはどのような検査方法によって測定されるのか、そして測定された数値にはどのような意味があるのかといったことがわかりづらい部分もあります。
IQやPQは、いわゆるテストのような「成績」ではありません。
しかし、だからといってまったく無意味なものというわけでもないでしょう。
従来から重視されてきた知識や処理能力といったIQに加え、社会的なスキル・共感性などの分野となるPQについても、意識して訓練していくことは、子どものその後の人生にとって大きなプラスとなることでしょう。
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「頭が良い」と判断する基準には様々なものがあります。
たとえば、単純に様々な分野の知識を持っている「知識量」をもって判断する場合もあれば、子どものうちはなにより学業の成績が重要であるという「偏差値」を重視する場合もあるでしょう。
また、すでに存在する知識を活用して未知の問題を解決する能力である「地頭力」や、その人の判断力・知性などを中心に判断する「知能指数」を挙げる人もいます。そうした文脈の中で「IQ」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
この記事では、「頭のよさ」を判断するための様々な基準のパターンと、その中での「IQ/PQ」の違いなどにも着目して解説します。
1. 実は誤解している人も多い「IQ(知能指数)」
人の頭のよさを判断する際に「IQ」という指数を用いることがあるという点は、多くの人が知っているでしょう。
一般にIQが高いほど頭がよく、反対に低い場合には頭が悪い、と理解されます。しかし、この理解は間違いではありませんが、必ずしも正確ではありません。
IQとは、知能検査の結果を表す指数であり、一般的には「生活年齢と精神(知能)年齢の比」または、「同年齢の集団の中での位置づけ」を表します。前者は「精神年齢÷生活年齢×100」という計算式で表され、100に近いほど人数が多い、つまり平均的であるといえます。後者の場合は、いわゆる「偏差値」と同様に、平均値と標準偏差によって表されます。
つまり、同年齢の人々の標準に合わせた相対的な評価となるわけです。
2. IQを測定するための知能検査ではどのような検査をするのか?
実際のところ、IQを測定するための知能検査でどのような検査が行われるのでしょうか。検査には「物事の理解」「知識」「課題解決力」などの認知能力を測定するための心理検査を行います。
より詳しく解説すると、「言語理解指標(VCI)」「知的推理指標(PRI)」「ワーキングメモリ指標(WMI)」「処理速度指標(PSI)」の4つの指標得点を算出し、それらの合計得点から知的発達・認知能力を測定するという方法が一般的です。この検査方法は、「ウェクスラー式知能検査」と呼ばれ、幼児から児童、成人と3つの区分に分けられています。
3. IQ以外の要素も注目されてきている
近年では、IQとは別のアプローチも重視されてきています。人間の知性とは、先に挙げたような要素だけではなく、そこに「情動」が含まれるべきとする考え方です。
この「情動」とは、「自己認識力」や「動機づけ」「共感能力」などの5つの能力から構成されており、こうした情動に関する能力も人間の知性の一部であると考えられるようになってきたのです。この情動に関する能力を加えた指数が、「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」、つまり「情動指数」と呼ばれています。情動指数の高さは、「人格的知性」とも呼ばれます。
4. 情動と自我を総合した「PQ(前頭知性)」とIQの違い
IQに情動を加えたEQという指数が注目される中、さらに「PQ」という考え方も加えられてきています。
PQとは「前頭知性」と呼ばれており、脳の「前頭連合野」の活動、つまり、「自我」に関わる部分にもスポットライトを当てた考え方です。
PQは、IQやEQに加えて、自己の感情を適切にコントロールしたり、社会生活・人間関係を営み、はぐくむための知性を表すといえます。
5. なぜIQ・PQという違いが生まれたのか?
脳の「知性」という言葉だけをとらえれば、確かに課題解決力や処理速度、知識量などを測れば充分と感じる人もいるかもしれません。しかしながら、人間は社会的な動物であり、他者との関わりを必要としながら生きています。それは例えば、家庭であれ、学校であれ、友人同士のコミュニティであれ同様でしょう。
そして大人になれば、職場での関係においても同様であるといえます。こうしたことから考えると、知識量や処理能力は脳の知性の一部分ではあるものの、それだけで人間の知性と評価するには足りない、とされるのが理にかなっています。
6. 注目される「子どものPQ教育」
子どもに対する教育の中にも、PQの概念は浸透しつつあります。
幼稚園や保育園などの施設でもPQ教育を取り入れる施設が現れており、たとえば老人ホームへの慰問、地域との交流など社会関係・人間関係や社会ルールを学ぶ機会を作ったり、絵本の「感想」を子どもから発信させることによる情動の把握と、その言語化という訓練を取り入れている施設もあります。
IQと同様に、教育の効果の現れ方は子どもにより異なる部分があることは否めませんが、将来的に社会の中で生活していくことになる子どもに対して、小さい頃からPQの教育を施すことは、子ども自身にとってよい効果を生むことが期待できるでしょう。
7. まとめ
IQやEQ、PQという言葉は、言葉としては聞いたことがあっても、実際にはどのような検査方法によって測定されるのか、そして測定された数値にはどのような意味があるのかといったことがわかりづらい部分もあります。
IQやPQは、いわゆるテストのような「成績」ではありません。
しかし、だからといってまったく無意味なものというわけでもないでしょう。
従来から重視されてきた知識や処理能力といったIQに加え、社会的なスキル・共感性などの分野となるPQについても、意識して訓練していくことは、子どものその後の人生にとって大きなプラスとなることでしょう。
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